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痛いつらい!病気に備える家庭の医学小事典
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アトピー性皮膚炎一言コラム: プロトピックとは、1993年から治験として使われ始め1999年6月に認可された、タクロリムスという免疫抑制剤を外用剤として製剤したもの。元々臓器移植手術の際に用いられてきたもの(商品名プログラフ)だが、その濃度を0.1%にして外用剤にしている。(小児用は0.03%である。) ステロイドの「medium」の強さではないかと言われている。特に顔面や頸部におい...
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特集
2008/05/09 日記<アトピー性皮膚炎>
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎 (英語:''atopic dermatitis'') とは、湿疹(皮膚の炎症)を伴うもののうち、アレルギー反応と関連があるもの。先天性の過敏症の一種。アトピーという名前は「場所が不特定」という意味のギリシャ語「アトポス」(atopos - a=不特定, topos=場所)から由来。医学用語としては気管支喘息、鼻炎などのほかのアレルギー疾患にも冠されるが、日本においては慣用的に「アトピー」のみで皮膚炎のことを指すことが多い。概要
アトピー性皮膚炎は、気管支喘息|アトピー型気管支喘息、アレルギー性鼻炎、皮膚炎の蕁麻疹を起こしやすいアレルギー体質(アトピー素因)の上に、様々な刺激が加わって生じる痒みを伴う慢性の皮膚疾患と考えられている。患者の約8割は5歳までの幼児期に発症する。従来学童期に自然治癒すると考えられていたが、成人まで持ち越す例や、成人してからの発症・再発の例が近年増加している。これについては、人口密度や住宅環境の変化が要因であるとする意見や、軽症患者の医療機関への受診が増えたことを指摘する意見がある。アトピー性皮膚炎のガイドラインには、厚生労働省によるものと、日本皮膚科学会によるものがある。厚生労働省診断ガイドラインは皮膚科医に限らず広く一般の臨床医に参照すべきものとして作成されている。「改善が見られない場合は専門医に任せるように」としているように、プライマリーケアの意味合いが強い。一方、日本皮膚科学会診断ガイドラインでは、皮膚科医が参照すべき内容になっている。主に皮膚の病変に着目した内容になっており、より厳密な診断基準になっている。このように2種類のガイドラインがあり、治療内容にねじれが発生する可能性もある、という意見もある。: ''診断ガイドラインの外部リンクは、アトピー性皮膚炎#外部リンクを参照のこと。''原因
発症の原因は不明であるが、蕁麻疹のようなアレルギー#I型アレルギー|即時型アレルギーとアレルギー#IV型アレルギー|遅延型アレルギーが複雑に関与すると考えられている。アトピー性皮膚炎は、家族内発生がみられること、他のアレルギー疾患(気管支喘息など)の病歴を持つ場合が多い(アレルギーマーチ)ことなどから遺伝的要因が示唆される。よって、皮膚が乾燥しやすいなどのアトピー素因を多くの患者が持つが、これは炎症の結果ではなく、独立した要素であると考えることができる。しかしその一方で、いわゆる遺伝病のように特定の遺伝子が発症の有無を決定的に左右するものではない。また、発展途上国に少なく近代化に従って数十年単位で患者数が増加していること、環境の変化によって急激に発疹・痒みの症状が悪化しやすいことなどの理由から、遺伝的要因だけでは説明できない事例も多く、環境要因も非常に大きいと考えることもできる。以下に、遺伝的(先天的)要因と環境(後天的)要因について分かっている原因の情報をまとめた。 遺伝的要因
遺伝的に皮脂が非常に少ないことが原因と言われている。近年、皮膚の一番表面の角層に存在するセラミドという脂質が少ないという報告があり、セラミドの生成に関わる遺伝子が注目されている。角層の異常に起因する皮膚の乾燥とバリアー機能異常という皮膚の生理学的異常の分子レベルの解明が進んでいる。[海洋資源化学研究室のホームページで紹介。多数の文献の記載あり。[http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/biosci-biotech/kaiyo/topix.html#(7)]][Degussa.AGほか、セラミドに関する最近の知見、フレグランスジャーナル Vol.32 No.11 2004 ][Ohnishi.Y Clin Diagn LabImmunol 6 101〜104][Okino.N J.Biol.chem. 273 14368-14373]遺伝子の解析により、マスト細胞、好酸球にIgE抗体を結合させるレセプターや、サイトカインのうちアレルギーの炎症に関与するものの遺伝子が集中している遺伝子座がアレルギーと関連していることが明らかになっている[Ono SJ. Annu Rev Immunol. 2000;18:347-66.]
。 環境要因
多彩な非特異的刺激反応および特異的アレルギー反応が関与して生じる要因があり、以下が挙げられる。[日本皮膚科学会編「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」 7][日本医師会ホームページ 知って得する病気の知識 アトピー性皮膚炎 [http://www.med.or.jp/chishiki/atpy/001.html]]
摂取する食物がアレルゲンとなっていることがある。乳児期・学齢期に多い。
ダニ・ハウスダスト・鳥の糞といったアレルゲンにより、悪化原因となっていることがある。
皮膚に常在している細菌の影響も考えられる。細菌が病変部位から進入するなどで特異的な感染症を併発することが多いほか、湿潤した病変部位は健常な皮膚よりも常在菌の数が多いことが知られており、これらの菌体成分により免疫応答が賦活化されることが症状の増悪の一因とする説もある。
ストレス (生体)|ストレスの影響も考えられる。進学・就職・職場の配置転換などを機会に悪化するケースが多い。ストレスにより掻破行動が増すことが原因のひとつである。自己を破壊する掻破行為がある種の快感を生み、患者がそれにより症状を悪化させるという説もある。[日本皮膚科学会編「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」 8]
環境基準(健康項目)に定められる有害化学物質等により発症が報告されている。皮膚炎の症状
乳児湿疹と混同される場合もある。その炎症は頭部に始まり、次第に顔面に及ぶ。そして体幹、手足に下降状に広がる。
幼児期-学童期には、関節の内側を中心に発症し、耳介の下部が裂けるような症状(耳切れ)を呈する。
思春期以後は、広範囲にわたり乾いた慢性湿疹の症状を呈する。
眉毛の外側が薄くなる(ヘルトゲ兆候)。
発赤した皮膚をなぞると、しばらくしてなぞったあとが白くなる(白色皮膚描記)。
乾燥して表面が白い粉を吹いたようになり、強い痒みを伴う
赤い湿疹、結節などができ、激しい痒みを伴う。痒疹を伴うこともある。
湿潤した局面から組織液が浸出することがある。
慢性化すると、鳥肌だったようにザラザラしたものができ、皮膚が次第に厚くなる。
しこりのあるイボ状の痒疹ができることがあり、この場合難治性である。イボになることもある。皮膚炎の評価
VAS (visual analog scale)
: 主観的な掻痒の程度の指標。100%が最も痒みが強い時、0%がまったく痒みがない時として、何%かをみる。主観に頼るため一般的な指標になりにくいが、痒みの改善度をみるのには非常に有用である。また、掻痒だけでなく、掻痒によって生じる睡眠障害の程度もこの指標が利用される。
SCORAD (SCORing Atopic Dermatitis)
: 発疹の範囲(熱傷 9の法則に準じる)、紅斑・苔癬化などの発疹の多様性、VAS(掻痒・睡眠障害)を数値化し点数にし、重症度を評価する。合計108点満点。アメリカ等で普及している。主な合併症
皮膚疾患
アトピー性皮膚炎体質の人は一般に皮膚が弱く、子供の頃におむつかぶれを起こしやすかったり、各種の化粧品、塗り薬、洗剤などによる接触性皮膚炎を起こしやすいことが知られている。
円形脱毛症の合併も知られている。 感染症
細菌に関しては、重度の湿疹病変から進入した黄色ブドウ球菌などによる伝染性膿痂疹(とびひ)をとくに幼児において多く合併することで知られている。[日本皮膚科学会編「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」 9]
伝染性軟属腫(水いぼ)などのウイルスによる皮膚疾患に感染しやすく、アトピー性皮膚炎患者が単純ヘルペスを罹患すると重症化することが知られている(カポジ水痘様発疹症)。 眼科疾患
最近では白内障や網膜剥離を合併するケースが増えてきている。[日本皮膚科学会編「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」 9]網膜剥離に関しては、特に顔面の症状が酷い際の掻破、顔をたたいてかゆみを紛らわせる行動などの物理的な刺激の連続により発生すると考えられている。白内障については原因は
網膜剥離と同様、顔や瞼の痒みから強く擦ったり叩いたりするからではないか
水晶体は発生学的に皮膚細胞と同じ分類に入るため、アトピー性皮膚炎と同様な病変が起こるのではないか
といった説がある。いずれにせよ、加齢に伴って発症する通常の白内障|老人性白内障とは異なる原因で発生すると考えられており、また水晶体が皮質からではなく核から濁ってゆく事が多いという症状のパターンの違いから、「アトピー性白内障」と呼ばれることもある。ステロイド内服の副作用として白内障があげられることから、原因としてステロイド外用剤の副作用が疑われたが、外用剤との因果関係は不明であること、内服薬の副作用として発生する際は、白内障ではなく緑内障の発生率のほうが高いにもかかわらず、外用剤のみで治療されているアトピー性皮膚炎患者では緑内障が少ないという矛盾があることから、ステロイド外用剤は直接白内障とは関連がないとの結論に至っている。治療総論
この疾患に病院などで一般的に行われる治療は、根治ではなく寛解を目的とする。現代の医療技術ではアレルギーの発症そのものを抑えることはできず、幼少期の食物の影響が強い症例などを除き、原因となるアレルゲンを特定することが難しく、また代表的なアレルゲンであるダニやハウスダストなどを環境から完全になくすことも困難であるからである。まず重要なことは不規則な生活やストレス、乱れた食生活や不潔な住環境を避け、十分な睡眠時間を確保することである。極端な重症例や治療に抵抗する症例を除けば、その上で薬物療法とスキンケアを行うことによりクオリティ・オブ・ライフ|QOLへの影響は最小限にできる。十分なコントロールが得られない場合でも、頻回の受診で処方を変えていけば問題が起きることは少ない。いわゆる「根治」をうたった療法で医学的根拠のあるものは現時点で存在しない。数年にわたって症状が完全に消失している、「根治」とみなせる状態もありうるが、何らかの治療の結果ではない。: ''現在、日本皮膚科学会にて治療ガイドラインが出ている。アトピー性皮膚炎#外部リンクを参照のこと。''医療機関で一般的に行われている治療(薬物治療)
ステロイド(副腎皮質ホルモン剤)
ステロイド外用剤は、副腎皮質ホルモン(ステロイド)により過剰になっている免疫反応を抑制し、症状を和らげる効果がある。もっとも効果が高いとされる薬剤である。外用剤にはランクがあり、「Weak(弱い)」「Medium(普通)」「Strong(やや強い)」「Very Strong(かなり強い)」「Strongest(最も強い)」に分けられ、症状の度合い・炎症の発生部位によって使い分ける。ステロイド外用剤は薬局・薬店などで入手出来るものもあるが、強いランクのものは医師の処方箋を必要とする。
ステロイド外用剤を皮膚に長期使用すると皮膚萎縮、皮膚感染症の誘発、毛細血管拡張などの副作用が生じることがある。しかしながら治療が困難な患者やアトピービジネスがその弊害を過剰に主張したり、内服薬の副作用を外用薬のそれと混同することもあり、治療現場は混乱している(ステロイド皮膚症を参照のこと)。
日本皮膚科学会で示される治療ガイドラインによると、ステロイド外用剤の中止によるリバウンド(:en:Rebound effect|Rebound effect)(急激な症状悪化・再燃)に関する言及はない。
症状が重く クオリティ・オブ・ライフ|QOL(生活の質)が著しく低下している場合は密封塗布や皮下注射を行ったりすることもある。或いはステロイド内服薬を服用する場合もある。 プロトピック(商品名・軟膏)
プロトピックとは、1993年から治験として使われ始め1999年6月に認可された、タクロリムスという免疫抑制剤を外用剤として製剤したもの。元々臓器移植手術の際に用いられてきたもの(商品名プログラフ)だが、その濃度を0.1%にして外用剤にしている。(小児用は0.03%である。)
ステロイドの「medium」の強さではないかと言われている。特に顔面や頸部において効果が高いとされ、ステロイドの副作用が出やすい部位でもあることから、好んで処方される。プロトピックは分子量が大きいため、正常な皮膚には作用せず、炎症が強く壊れた皮膚にのみ浸透していくことに由来している。
使用開始初期にヒリヒリとした刺激感や火照りを感じる人もいるが、皮膚が慣れてくるにつれて徐々に治まってくる。
妊娠している方には使用禁止である。授乳中も使用できないとされているが念のためというニュアンスである。
塗布後に直射日光を浴びたり、紫外線療法による治療中に使用することなどは避けるべきとされている。皮膚癌の発生率が高くなるという報告がある[FK506軟膏研究会:アトピー性皮膚炎におけるタクロリムス軟膏0.1%および0.03%の使用ガイダンス、臨床皮膚科57:1217-1234,2003]が白人のデータであり日本人には当てはまらないとする意見もある。
副作用としては、ニキビの増悪がある。カポジ水痘様発疹症の発生率が高くなるとの報告がある。[FK506軟膏研究会 アトピ-性皮膚炎に対するFK506(タクロリムス)軟膏の長期観察試験 1年間の成績 臨床医薬14:2405、1998 ]
マウスの実験で悪性リンパ腫の増加があるという報告がある。[Primedica/Mason研究所、FR900506(FK506,タクロリムス)軟膏をBCFマウスに24ヶ月反復塗布した癌原性試験(CONFIDENTIAL:DIR030003) ]メーカーでは、人間に使用した場合の影響はないと説明している[アステラス製薬 プロトピックの安全性について[http://www.astellas.com/jp/special/proto.html]]が、動物実験を根拠に危険を主張する人もいる。精確な評価には多数の使用者を長期追跡することが必要であるため、完全な結論には時間が必要と思われる。なおアメリカ食品医薬品局|FDAは発ガン性への懸念から、処方を必要最小限とするように警告を出している[日経Med Wave 2005年3月15日版]。 保湿剤
アトピー性皮膚炎患者の皮膚は、明確な病変部位外にも、乾燥した特異な性状を示すことがある。乾燥部位からは皮脂やセラミドが失われ、外部からアレルゲンの侵入を容易にしていると考えられている。また痒みの一因ともなり皮膚の回復が妨げられている。炎症に対する治療だけでなく、このような皮膚の性状に対処すること(スキンケア)もまた、治療の根幹である。スキンケアを丹念に行うことにより劇的に改善することもあるため、ステロイド外用剤などだけでなく、保湿剤を使用することは重要である。実際の処方では、ワセリン等の油性のものや、適度に水分を含んだクリーム状の保湿剤(ヒルドイドソフト等)がよく処方される。医療機関で処方されるものだけでなく、薬局・薬店で購入できるスキンケア製品でも効果が期待できる。ただし患者の敏感な皮膚は製品によっては接触性皮膚炎を起こすこともあり、使用感がよく、かぶれを起こさない製品を選択することが重要である。最初はいろいろ試して、自分に合う保湿剤を探索するのも良い。 非ステロイド系薬剤
風邪薬などの成分である消炎・鎮痛薬(イブプロフェンなど)の外用剤(アンダームクリーム、スタデルムクリームなど)を使用することがある。いずれも穏やかでステロイドほど劇的な効果は得にくいとも言われる。接触性皮膚炎を高率に起こすことがある。
抗ヒスタミン外用薬(レスタミン軟膏など)を使用することがある。痒みは低下するが、炎症を抑える効果は低いとされている。 その他
皮膚科の専門医が漢方薬を処方する場合もある。そのような場で処方される場合、顆粒状に加工されたエキス剤であることが多い。健康保険が適用される。ツムラ、JPS製薬の項目を参照。
痒みが強い場合、必要に応じて抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬を使用する。アトピー性皮膚炎の患者では、発疹→痒み→掻破行為→発疹にて悪循環になっていることが多い。そのため、その悪循環を断つという意味で痒みを抑える効果のある抗アレルギー薬は有効である。痒みのコントロールをすることは、皮膚の炎症の改善にもつながるということである。
IPD(アイピーディー)というTh2活性阻害薬が使用されることがある。花粉症でも使われる薬剤である。アトピー性皮膚炎では、Th2細胞の亢進・サイトカインの中のIL-4・IL-5(アレルギー症状を誘発するもの)の産生の増加がみられることがあるため、効果があるとされている。効果が現れるのには数週間ほど時間がかかるという特徴がある。
痒みが強く睡眠がとれない場合、必要に応じて睡眠薬・抗うつ薬を使用することがある。
掻破による傷がある場合、亜鉛華軟膏を使用することがある。* ステロイドは使用されていないとして販売された化粧用保湿クリームに、ベリーストロングのステロイドが少量混入されている事件が全国で数社、およそ数千個発覚し注意が促されている。ステロイドが入っていないと信じて赤ちゃんや顔に使用した人がいるため注意を呼びかけるニュースが流れた。これらのクリームを使用した人は、使用をやめると皮膚がカサカサし、それがリバウンド症状に似ていることから気づいて訴え、調査から相当時間がたって混入が発覚した。医療機関で一般的に行われている治療(薬物以外の治療)
アレルゲンの除去
「ダニ」・「ハウスダスト」がアレルゲンとなっている場合が多く、実際に他の疾患の治療でホコリのない無菌室に入った際に劇的に改善することは良く知られている。部屋のホコリ掃除や換気をこまめに行い、寝具を日光に干す頻度を増やす。多くの患者では多種類のアレルゲンが関与し、また完全にダニなどを除去することも難しいため必ずしも効果があるとは限らないが、著効例も報告されている[中山秀夫: ダニアレルギーとその対策. Dermatology Practice6. 152-161]。愛玩動物の皮屑も主要なアレルゲンの一つであり、さらに飼育管理によってはダニの原因にもなっているため、基本的には飼わないのが無難である。ただし心情的に動物を手放すのが難しい場合もあり、患者の家族環境の問題でもあるため、慎重な態度をとる医師も多い。段階的に、まず医療機関でRAST法などの血液検査を行い、患者の症状の原因となっているかを調べ、また実際に飼育している動物との接触で症状が悪化するかを調べ、原因であることを確定してはじめて除去を行うという指導もある。 食事制限
アトピー性皮膚炎の原因が、明らかに食物アレルギーが原因または悪化要因となっている場合には、食事制限が必要となる。一時期には厳密な食事制限が実施されたが、成長に伴い食物の影響は低くなるケースが多いことと、厳格な食事制限の結果子供の一部に成長障害が起きることが多々みられるようになったという理由で、以前よりは比較的穏やかな方法がとられるようになった。そのため管理栄養士などともよく相談して慎重に行う必要がある。
アトピーの治療というより食物アレルギーの治療である。食事制限により、皮膚の炎症を直接、抑えるものではないので注意が必要である。
血液中のIgE抗体が、どのアレルゲンに反応するかを調べるRAST法では、総IgEが高い場合、多数種の抗原に対して陽性となる傾向があるが、それは実際の症状と相関しない場合があることがわかっている。食事制限の方針を決める際には、パッチテスト、少量を試験的に摂取するなどの実際のアレルギー反応を見る方法で判断したほうがよい。
また乳児に対しては、時期尚早な離乳食への移行や、同一の食品を連続して摂取させるなどの、食物アレルギーを誘発する行為は避けるべきである。 石鹸の工夫
過剰に皮脂を奪う石鹸は避けたほうがよいが、その一方、十分に皮脂が洗い流されないとかゆみや菌の繁殖によってかえって症状を増悪させる場合もある。皮膚科の専門医によっては、オリーブ石鹸などの無添加かつ低刺激性石鹸の使用を薦める場合があるが、「アトピー患者向け」として推奨されるものや高価な「敏感肌用石鹸」が必ずしもすべての患者に合うわけではない。実際に試すなどして、個個人にあった製品を選択する必要がある。また一部の症例では頭皮の病変部に真菌が生息していることが報告[Aspres, N. & Anderson, C. Malassezia yeasts in the pathogenesis of atopic dermatitis. Australas J Dermatol 45, 199-205; quiz 206-7 (2004).]されており、これにより抗真菌剤を配合したシャンプーを薦める医師もいる。頭皮から上半身にかけての症状は、シャンプーやリンスなどによる接触性皮膚炎である場合もあるため、製品をかえると改善することがある。 日常生活の指導
皮膚はいつでも清潔に保つ。
皮膚の保湿をおこない、乾燥させない。
爪は短く切り、滑らかに磨いて皮膚を傷つけないようにする。
適温・適湿の環境を心がける。
刺激の少ない衣類を着る。
汗をかいたらこまめに着替えるようにする。
室内を清潔に保つ。 ストレスの除去
家庭・学校・職場における本疾患の理解と協力が必要である。
必要であれば精神療法を行うこともある。その他の治療・民間療法・代替医療この病気は原因が完全に解明されておらず、また直接生命にかかわるまでには至らない性質のものであることから、医師の間でも治療方法・考え方が異なることが多々みられる。そのため、医学的根拠がまったくなく一部の医師の仮説がひとり歩きしたものから、医師の間でも意見が分かれており是否について研究されているものまで幅広く多数ある。また、同時に民間療法・代替療法も多数出現した。それらを以下にまとめた。記載にあたっては、個々の是否・信頼性に関して、また医療機関で行われるものか民間療法なのかの鑑別について、すべてを分類することは困難であり、それらすべてが混在して書かれている。そのため、この中にはアトピービジネスが提唱する独自理論に由来するものも含まれており、実施にあたっては、過度な期待をしない、悪化の兆候が見られたら無理に続けない、高額なものは詐欺的な要素を持つので避ける、といったことを心がける必要がある。 脱ステロイド療法
「脱ステロイド」の本来の意味とは、アトピー性皮膚炎の症状が改善傾向にないのに現在治療に使用中のステロイド外用剤を中止して、ステロイド外用剤を使用せずにアトピー性皮膚炎の症状をコントロールする方法のことである(そのため、症状が改善してきたためステロイド外用剤を中止して経過をみるという行為は、「脱ステロイド」と称するのは不適切であろう)。ステロイド外用剤は非常に高い有効性を持つ薬剤であるが、特に重症例では正しく医師の指導の下に使用していても十分に症状を抑えられない例や、長期の連用により皮膚萎縮、接触性皮膚炎、二次感染といった副作用をきたす例が存在する[British Jornal of Dermatology 2003 Jan;148(1):128-33. Clinical dose and adverse effects of topical steroids in daily management of atopic dermatitis.](ステロイド皮膚症の項参照)。
このような症例において副作用から脱却したり、ほかの治療法を模索するといった過程で脱ステロイド療法が行われることがあり、実際にそのようなケースに限ってはステロイド剤の中止が有効であったという報告もある[Clinical Dermatology 1995 IV治療のポイント 成人型アトピー性皮膚炎の脱ステロイド療法 臨床皮膚科49(5増):115-120, 1995]。しかし当然ながら、このような治療法に踏み切るためには、現在のステロイド外用剤による治療が効果をもたらしていないのかを慎重に判断する必要がある。一方で「脱ステロイド」という言葉がアトピービジネスにおいて多々使用されることがある。その理由であるが、アトピービジネスは、他の科学根拠のない代替療法を勧めるため、「ステロイド外用剤はアトピー性皮膚炎を悪化させる」「ステロイド外用剤のリバウンドが続いている」「ステロイドを使用した年月に比例して治療に時間がかかる」「病変部から<毒>が排出されているので湿疹は好転反応である」などの独自理論を説明し、ステロイド剤に対して恐怖を煽り、ステロイド剤を中止させようとする場合が多いためである[アトピービジネス 文春新書]。さらに自然主義的観点からプロトピックの使用も是としないことが多い(脱プロトピック)。当然これらの主張に医学的な根拠は無い。このような業者に脱ステロイド療法(およびそのビジネス独自の療法)を指示されて極端に悪化し、かゆみが強く夜も眠れないなど生活に支障をきたしたり、ひどい場合緊急入院という結果となる症例が多数発生し続けている[越後岳士他 「脱ステロイド療法にて増悪後、入院治療を行ったアトピー性皮膚炎患者の分析」 『日皮会誌』112(11) 1475‐1479、2002年][竹原和彦、飯塚一、伊藤雅章、玉置邦彦他 「アトピー性皮膚炎不適切治療健康被害実態調査報告書」 『日皮会誌』110:1095‐1098、2000年]。少数ながら合併症による死亡例もある。また、アトピービジネスやマスコミによるステロイド剤の恐怖などの誇張した宣伝の結果、治療が難航している患者が自己判断で「脱ステロイド」を行い、症状が急激に悪化するという悲劇的な2次的被害もみられる。一時期、社会問題になったこともあった。以上のように科学的根拠のないステロイド害悪論に基づいた「脱ステロイド」は危険であり、実施するに当たっては実際の病態がステロイドの弊害によってもたらされているのかを多数の医師とよく相談して判断した方が良い。その際、プロトピック軟膏やPUVA療法、シクロスポリンといった他の治療に切り替えながら様子をみることが多いので、それに関しても医師と十分に相談すべきである。 薬物療法
民間療法として漢方薬がよく使われる。使用方法に関して流儀があるため、漢方医、薬局による違いが大きい。人によって合う・合わないがあるので(合わない場合は増悪することもある)、素人判断は避け、漢方の専門医とよく相談の上で行った方が良い。一方漢方のみに依存して悪化する例も多数見受けられる。漢方に固執しないで悪化したときには皮膚科医にも相談することが大切である。アトピー性皮膚炎に効果があると言われる漢方の内服には証にあわせて消風散(しょうふうさん)、温清飲(うんせいいん)、補注益気湯(ほちゅうえっきとう)など、外用剤には、紫雲膏(しうんこう)・太乙膏(たいつこう)・中黄膏(ちゅうおうこう)などがある。
抗真菌薬の内服が効果があるという報告がある。[神田奈緒子 抗真菌薬はアトピー性皮膚炎の患者T細胞のIL-4、IL-5を抑制する [http://www.jsmm.org/common/jjmm45-3_137.pdf] ] しかし、一方で、保険診療は認められおらず、医師の間でもその是非について意見が分かれている。 食事療法・食物・喫煙に関して
アトピーの原因は胃腸あるいは小腸が正常に働いていないためにアレルゲンとなる物質が未消化のまま吸収されることや、腸内細菌叢が乱れていることであるとし、これを正常化することにより治療を目指すという考え方がある(プロバイオティックス)[北 廣美, 下谷 麻里子, 藤沼 秀光。アトピー治療のW戦略―腸内正常化と毒出し(デトックス) メタモル出版]。ただし、いわゆる食物アレルギーの場合は別として、本当に患者の腸に異常があるのか、提唱者の方法でそれが改善されるのか、という点は十分に検討されているとはいえず、この方法には疑問が残る。
SOD様食品療法(実際には不飽和脂肪酸、コーヒー、チョコレート、青魚の除去等も含めた複合療法)がある。四国・土佐清水の丹羽耕三医師とその治療法の研究グループが提唱しているものである。いわゆる活性酸素を除去する酵素スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の作用を持つ食品により症状の改善を目指すという。こ | | | |